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育てにくさの「震源地」-覚醒レベル-

はじめに

このノートは、
2026年1月15日の勉強会での
木村先生の言葉を、
自分の理解のために噛み砕いて

書き残したものです。

講義の要約や公式資料ではありません。
また、医療・診断・支援方針を
決定するものでもありません。

ただ、
「育てにくさを性格や親のせいにしない視点」
「覚醒レベルという物差し」
これを、忘れないための記録です。

目次

「育てにくさには“理由”がある」から親は救われる

木村先生がこの仕事に入って、
もう40年以上になるらしい。
その中でずっと見続けてきたのは、
しんどそうなお母さんたちの姿だった。

言葉が出ない
指示が通らない
生活のことがうまくできない
癇癪、噛む、叩く、物を投げる

こういうことが続くと、
親はどうしてもイライラする。

でも木村先生ははっきり言っていた。

それは親の器が小さいからじゃない。
「なぜ起きているのか」が分からない状態で、
毎日向き合っているからだ。

理由が見えないまま
「今日もダメだった」
「またできなかった」
が積み重なると、人は必ず追い詰められる。

だから木村先生が一番大事にしてきたのは、
できないことを直すことじゃなく、
「なぜそうなるのか」を一緒に見ていくことだった。

育てにくさには理由がある。
それが分かるだけで、親の心は少し軽くなる。
この考え方が、全部の土台なんだと思った。

親に必要なのは「家で続けられること」

親子通所や療育の現場で、
先生と会える時間は本当に限られている。

多くて週1回。
少ないと月1回。

残りの時間は、全部家庭。

だから木村先生は、
特別な訓練や高い教材よりも、
家で続けられることを何より大事にしていた。

・分かりやすい
・時間もお金もかからない
・親の負担が大きすぎない
・それでも発達にはちゃんと意味がある

この条件がそろわないと、続かない。

親が疲れ切ってしまう方法は、
どんなに理論が正しくても意味がない。
この感覚、すごく現実的だった。

アドバイスがないと親は両極端に振れる

木村先生がよく見てきたのが、
「期待」と「諦め」を行き来する親の姿」

最初は
「そのうちできるようになるかも」
「先生が何とかしてくれるはず」
って、根拠のない期待を持ってしまう。

でも、うまくいかない時間が続くと、
一気に反対側に振れる。

「どうせ誰に聞いても無理」
「何をやっても変わらない」

どっちも、親が一番しんどくなるやつ。

だから木村先生は、
分からないことはどんどん聞いてほしい
って言っていた。

質問するのは失礼でも迷惑でもない。
親が現実に戻るために必要な行動なんだ、って。

ここ、ママとしてかなり刺さった。

「様子を見ましょう」は、親を置き去りにする

「様子を見ましょう」。

木村先生は、この言葉をかなり慎重に使っていた。

自信がないとき
はっきり説明できないとき
責任を取りたくないとき

人はつい、この言葉を使ってしまう。

でも、言われた親は置き去りになる。

何を見ればいいのか
どれくらい待てばいいのか
今、何をしたらいいのか

全部分からないまま、時間だけが過ぎる。

分からないなら、
「分からない」と言ってくれた方がいい。
その方が次の手を考えられる。

この言葉は、覚えておきたいと思った。

どんどん質問していこう!

比較はしていい。でも「優劣」にしない

「他の子と比べないで」と言われるけど、
親には判断材料が少なすぎる。

支援者みたいに、
たくさんの子を見る立場じゃないから。

だから
「同じ年齢の子は、だいたいどんな感じか」
を知るための比較はしていい。

でもやっちゃいけないのは、
優劣をつける比較

「うちの子はダメ」
「○○ちゃんはできているのに」

ここに入ると、親も子もしんどくなる。

「頑張ってね」がつらく聞こえる理由

「頑張ってね」。

励ましのつもりの言葉だけど、
親にはこう聞こえることがある。

「もう十分頑張ってるんだけど…」

親は、もうやれるだけやってる。
それを知らずに言われると、
責められているように感じてしまう。

悪意はなくても、刺さる言葉がある。
だから言葉は、本当に難しい。

覚醒レベル=「眠い/元気」じゃなくて脳の回転数の話

1) 木村先生の言う「覚醒」は、一般的な意味と違う

覚醒が低い
= 眠そう
= ボーッとしてる

って思いがちだけど、
木村先生の言う覚醒は、そういう話じゃない。

眠そうじゃないのに
元気そうに見えるのに
ふざけてるのに

脳の回転数だけが落ちている状態がある。

だから
・意識がないわけでもない
・サボってるわけでもない
・やる気がないわけでもない

ここ、めちゃくちゃ大事な前提。

2) 覚醒は「2つの仕組み」で動いている

木村先生の整理が分かりやすかった。

① 命を守るための基本の覚醒
→ 医療で言う「意識レベル」に近いところ
→ これは保たれている子がほとんど

② 興味・関心・好奇心で上がる覚醒
→ 脳の中枢と、大脳の表面が
→ 電気信号を行ったり来たりして活性化する

問題になるのは、ほとんどが②。

つまり
退屈
単調
刺激が少ない

こういう状態が続くだけで、
脳の回転数はどんどん落ちる。

3) 「やる気」の問題じゃない

覚醒が下がるのは、
本人の意思じゃない。

「ちゃんとしなさい」
「集中しなさい」
「聞いてる?」

これで上がるなら、誰も困らない。

脳が無意識に下げている回転数を、
本人の根性でどうにかするのは無理。

だから
叱っても
説教しても
注意しても

噛み合わない時がある。

それは、性格じゃない。

4) たとえ話:脳はエンジン

木村先生のたとえがすごく分かりやすかった。

脳を車のエンジンに例える。

回転数が
高すぎても → 空回りして疲れる
低すぎても → 動きが悪い

ちょうどいい回転数がある。

この「回転数」が、覚醒レベル。

これで考えると、
感情論じゃなくなる。

「なんでできないの?」じゃなく
「今、回転数落ちてない?」
って見方に変えられる。

5) 覚醒が標準なら、能力はちゃんと出る

木村先生が強調していたのはここ。

知的な遅れがあっても、
覚醒が標準値なら
その年齢なりの判断や集中はできる。

逆に
知的能力があっても
覚醒が下がっていたら
力は出ない。

だから
「能力」を最初の物差しにしない。

まず見るのは
脳の回転数

ここを外すと、
全部ズレていく。

6) 今多いのは「覚醒が高すぎる子」じゃない

これも意外だった。

昔は
本当にハイテンション
止まらない
興奮しすぎ

みたいな子も多かったらしい。

でも今は、
ほとんどが逆。

覚醒が下がっている側

ただややこしいのが、
覚醒が低いのに
一見ハイテンションに見える子がいること。

7) 覚醒低下①:一見ハイテンション

例に出ていたのが、これ。

・寝る直前に大騒ぎ
・昼寝前にやたらはしゃぐ
・おちゃらけが止まらない

元気に見えるけど、
実は脳は落ちてきている。

眠さを自覚できていないだけ。

この状態は
コントロールが効きにくい。

「分かっちゃいるけどやめられない」。

ここで叱り合戦になると、
親子ともに消耗する。

8) 覚醒低下②:不機嫌・ぐずり・荒れ

さらに落ちると、こうなる。

・なんか不機嫌
・ぐずぐず
・泣く
・攻撃的になる

正直、一番しんどいやつ。

性格が悪いみたいに見えるけど、
木村先生ははっきり言っていた。

これは
脳の回転数がさらに落ちて、
情緒のコントロールが乱れている状態

ここが見えると、
「叱る」より「対策」に頭が切り替わる。

9) 覚醒低下③:ぼーっとする・反応が薄い

一番分かりやすいのがこれ。

・表情が少ない
・反応が遅い
・笑ってるけど固まってる
・先生の話が入ってない感じ

木村先生は
「昼行灯」って言ってた。

灯りはついてるけど、
明るさが足りない状態。

10) 覚醒が下がると起きること

木村先生が
「物差し」として整理してくれたのがこれ。

① ワーキングメモリーが落ちる
→ 指示が残らない
→ ノートが取れない
→ さっきの話を忘れる

② やる気・元気が落ちる

③ 注意のコントロールが崩れる
→ キョロキョロ
→ 逆に過集中で切り替えられない

④ 感情が乱高下する
→ さっき笑ってたのに急に怒る

これ、全部「性格」に見えやすい。

11) 親も同じ物差しで見ていい

夜は
親も覚醒が下がる。

昼なら流せることが
やたら腹立つ。

分かってるのに
強く言っちゃう。

だから
「私も今、回転数落ちてるな」
って見ていい。

散歩
距離を取る
一回離れる

それすらできない時は、
「凡人だからしゃあない」でいい。

  • 覚醒は「やる気」じゃなく、脳の回転数
  • 元気そう=高覚醒とは限らない
  • 叱りたくなった時ほど「今どの段階?」を見る
  • 親も同じ物差しで自分を見ていい

覚醒が低い子には「ダメ!」より“興味の向け先”が必要

1) 叱っても止まらない時は、脳の回転数が落ちている

木村先生の話を聞いて、
「ああ、だから止まらなかったのか」って場面がいくつも浮かんだ。

ふざける
動き回る
ちょっかいを出す
変なことを言う

こっちは
「今じゃない」
「やめて」
って思うけど、止まらない。

それは
言うことを聞かないんじゃなくて、
聞ける状態じゃないだけ。

覚醒が落ちている時は、
ブレーキが効かない。

ここで正論をぶつけると、
余計にズレる。

2) 「ダメ」は最後。先にYESの道を出す

止めたい行動がある時ほど、
先にYESを出す

「ダメ!」だけだと、
行き場がなくなる。

だから
・ここまでならいい
・この後ならOK
・今はこれにしよう

って、
向かっていい方向を先に出す。

子どもが
チラッとこっちを見る
ニヤッとする

その瞬間で、いったん引く。

勝ち負けにしない。
叱り合戦にしない。

これだけで、消耗が全然違う。

3) 覚醒が低い時ほど、心は折れやすい

覚醒が下がっている時は、
脳も疲れている。

そんな時に
強く否定される
怒鳴られる
人格ごと否定される

これが続くと、
立て直す力が削られていく。

木村先生が強く言っていた。

発達を止めるのは、
無理解のままの叱られ方

「たしなめる」と
「怒鳴る」は別物。

ここは、親として意識したい。

4) 覚醒を上げる方法は3つの方向がある

木村先生は、
覚醒を整える方法を
大きく3つに分けていた。

① 感覚から入る
② 環境・関わり方を変える
③ 薬物的アプローチ

このあと、
一つずつ話がつながっていく。

感覚で覚醒を上げる:「ジェットコースター効果」

1) ジェットコースター効果の目的は「脳を起こす」こと

名前は派手だけど、
目的はシンプル。

脳の回転数を上げる

テンションを上げるためじゃない。
おとなしくさせるためでもない。

結果として
集中
切り替え
反応
学びやすさ

こういう「脳機能」が上がっていく、
という位置づけ。

2) 効果はすぐじゃない。コツコツ型

ここ、すごく大事。

学齢期から始めると
安定するまでに約5年。

最初の変化が見えるのは
早くて半年くらい。

だから
一発逆転を狙わない。
続けられる形を作る。

3) まず決めるのは、この3つ

木村先生が言っていた核心。

いつやる?
誰がやる?
どこでやる?

これが決まらないと、回らない。

さらに
週3回以上。

頻度が命。

4) 家庭でやるなら「安全第一」

先生は
「吐くまでやる」
「限界まで回す」
みたいな話もしていたけど、
家庭では狙わない。

家庭では
笑顔で終われる刺激が基準。

5) 家でできる安全メニュー(覚え書き)

・膝の上でゆらゆら
・布団やマットでぽよんぽよん
・抱っこで軽く上下
・ゆっくり回転
・マットでジャンプ

短く
小分けで。

「もう1回!」が出るところで止める。

6) やりすぎサインは、ちゃんと見る

即中止のサイン。

・顔色が悪い
・目がうつろ
・ふらつく
・不機嫌が長引く
・寝つきが悪くなる

その日は終わり。

7) 性格は「作られる」んじゃなく「出てくる」

これ、印象に残った話。

ジェットコースター効果を続けると
性格が変わるんじゃない。

本来のキャラが出やすくなる

元気な子は、より元気に。
おしとやかな子は、より落ち着いて。

だから
「おとなしくさせたい」目的だとズレる。

覚醒が上がると、タッチングが生きる

今日の流れで腑に落ちたところ。

覚醒が上がる

関心を向ける力が出る

タッチングの学習が進みやすい

だから
揺さぶり遊び → タッチング
この順は相性がいい。

覚醒が見えると、子育てが戻ってくる

こぼす
投げる
汚す

腹は立つ。

でも
「今、回転数落ちてるな」
って分かると、
イラッが少し緩む。

叱る前に
休憩を入れる
環境を変える
距離を取る

先手が打てる。

子どもがすぐ変わるわけじゃない。
でも、叱られ方が減る。
それが一番大きい。

  • 覚醒が低い時ほど「ダメ」は逆効果
  • 興味の向け先を先に出す
  • ジェットコースター効果は脳起こし、続けることで、本来の力が出てくる

覚醒を上げる方法の話 ― 薬・香り・医療の位置づけ

1) 木村先生は「薬=悪」とは言っていない

ここ、誤解されやすいところだけど、
木村先生は薬を否定していなかった。

ただ、位置づけがはっきりしていた。

薬は
覚醒を“標準値に近づけるための手段の一つ”

しつけの代わりでもないし、
関わりを省略するものでもない。

2) カフェインの話が出た理由

印象に残ったのが、カフェインの話。

大人が
「午後はコーヒー飲まないと回らない」
って言うのは、
覚醒を薬で底上げしてる状態。

だから木村先生は
「カフェインも分類上は薬」
って言ってた。

小学生にコーヒーの例も出たけど、
これは
「家庭でやってみよう」
って話じゃない。

覚醒は、薬でも上がるくらい
本来は“操作されてるもの”なんだ

って示すための例。

3) 医療の薬(コンサータなど)の考え方

木村先生の説明で、整理できたのはここ。

コンサータは
落ち着かせる薬じゃない。

覚醒を
上げすぎず
下げすぎず
標準に近づける方向。

ただし
・診断が必要
・処方には条件がある
・誰にでも合うわけじゃない

だから
「飲めば解決」ではない。

環境
関わり
感覚
その上で、必要なら医療。

順番が逆になると、苦しくなる。

4) 香り(ミント・アロマ)は“感覚+薬”

香りの話も出ていた。

ミント系は
匂いという感覚刺激でもあり、
覚醒を上げる作用もある。

だから木村先生は
薬物アプローチにも入れていた。

ただ
香りは個人差が激しい。

合う子もいれば、
逆に気持ち悪くなる子もいる。

「合えば使う」
「合わなければやめる」
それでいい。

思春期の前に知っておきたい「距離」の話

1) 木村先生が言っていたのは、こういうこと

ここはセンシティブだから、
ママノートとして噛み砕く。

男の子 × 母親
思春期に入る前から、

生活の距離を少しずつ調整していく
必要がある、という話。

急に突き放すんじゃない。

でも
身体に近いケア
入浴
着替え

いつまでも母が全部やる形は、
あとでしんどくなることがある。

2) 役割の準備を、早めに

できるなら

男性の支援者

生活の一部を担える形を
早めに作っておく。

思春期に入ってから
いきなりバトンタッチは難しい。

これは
母を責める話じゃない。

母が一人で背負わなくていい形を
準備する話

この話の一番大事なところ

木村先生が、
何度も何度も言っていたこと。

子どもがすぐ変わるわけじゃない。

でも
「なんで?」が見えると、
関わり方が変わる。

叱りが減る。
否定が減る。
空気が変わる。

それが
発達にとって、ものすごく大きい。

● 最後に

・イライラは、私のせいじゃない
・できないのは、怠けてるからじゃない
・覚醒が見えると、叱らなくて済む場面が増える
・親も凡人。自分の回転数が落ちる時もある
・続けることで、子どもは“本来の姿”に戻っていく

目次